肝臓癌手術の術中死亡率 医療事故が起こる仕組み

岐阜県の病院、東海中央病院での、肝臓癌手術における術中死が問題になったようです。
(手術中の死亡2件、医療事故と扱わず 岐阜の病院を県が指導:朝日新聞デジタル (asahi.com)

上記のリンクは有料記事なので詳細は分かりません。が、見出しだけみると、同一医師によって6年間で3回の肝臓癌手術術中死を起こし、それもすべて出血死だったということですね。そして、病院は医療事故でないと主張していた(おそらく)という記事ですね。

まず、6年間で3回は多いんでしょうか、少ないんでしょうか。上記病院でのホームぺージによると2014年度におけるデータしかないですが、肝臓手術が年間で1件しか行われておりません。現在はさすがに行われていると思われるので年間10件だったとしましょう。そして6年間で60件、そのうち3件が術中死が起こったので、術中死亡率は3/60×100%=5%ですね。これは少なくないです。日本での肝臓癌手術における平均術中死亡率は、下記リンクから約1%です。
第123回日本医学会シンポジウム (med.or.jp)
なので平均より5倍高いです!!!なのでこれには何か原因があると考えるのは普通ですが、病院は医療事故と主張しなかった、という記事ですね。

では、何が優位に間違っていたんでしょうか。考察してみました。
■手術適応の誤り
気になるのが、2014年の年間肝臓癌手術件数は1件でした。恐らく、手術件数を増やしたい為に手術適応ない患者も無理やり手術に及んでいた可能性が考えられます。よくあるんですが、術前に患者に手術内容説明する時に、手術のリスクあるけど手術しないと死ぬよって優しく脅すんですよね。いざ術中死が起こると、「最善を尽くしたけどダメでした。でも、リスクがあるのは手術前にもいったよね」っていうノリだと思われます。
■執刀医の技量
失血死という事は、大血管損傷ですね。肝臓に関係する血管としては、肝臓につながっている肝動脈と門脈、肝臓の裏にある下大静脈でしょうか。肝血流は7割が門脈依存で3割が肝動脈です。なので失血死となると門脈かもしくは、下半身全体の血流を心臓に送る下大静脈を傷つけたのでしょうね。はっきりいって普通にこの二つの血管は傷つけないですね。腫瘍がこれらの血管を巻き込んでいたら確かに腫瘍を剥離することが難しいですが、それは術前のCTである程度わかります。そういった術前に手術適応を判断するのも執刀医の技量の一部だと考えられます。
また傷つけたとしたら、それを縫合するのは、消化器外科ではなく血管外科にお願いすることが普通です。調べると、上記病院では血管外科医は診療科に含まれていませんでしたね。よって、そういう意味でもこの規模の病院で肝臓手術は行うべきではないとするのが普通の病院経営だと思いますね。

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